ゆるんでいく日々

心理カウンセラー原口実紅のブログ

私が普通に生きられないのは「トラウマ」のせい?トラウマの症状・トラウマ治療FAP・回復のプロセス

神奈川・湘南の心理カウンセリング、心理療法FAPでのトラウマ治療

こんにちは!大嶋信頼先生開発「心に聞く」&「FAP療法トラウマ治療」専門の心理カウンセラー原口実紅です。

 

今日はトラウマについて、お話しをしていきたいと思います。 

トラウマ治療の良さにはいろいろあるのですが、そもそも「トラウマ」という言葉がイメージばかり先行していて誤解されていたり、実際に起こりうる症状について周知される機会もない、という現状があります。

 

それもそのはず、日本で心理系の勉強ができるところ(カウンセリングスクールや大学など)でトラウマについて取り上げられること自体、まだまだ少ないようです。

そこで、今回はこちらの本↓を参考に、基礎的な知識を自分の経験と絡めながら解説し、心理療法FAPにおけるトラウマの治療についてお伝えしていきたいと思います。

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

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トラウマってなに?

トラウマとは、心に受けた傷のことを意味するドイツ語の言葉です。

その後に起こる症状には「PTSDpost traumatic stress disorder)」という疾患名がつけられていて、日本語では「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれたりもします。

1990年代当時、アメリカではベトナム戦争が社会問題になっていました。同時にフェミニズム運動が盛んになっていたところ、偶然にも、帰還した兵士が示す症状と、性暴力被害にあった女性の示す症状が、似ていることが話題になったのです。こうしてPTSDの診断が確立しました。

 

どんなことがトラウマになるの?

単回性のトラウマ

戦争や天災など、生死の問題に関わる出来事がトラウマになることがわかっています。また、事件を事故に巻き込まれて被害に直面した場合なども心の傷になります。これを、単回性のトラウマとか、シンプルトラウマと呼んでいます。

「トラウマ」というと一般的にシンプルトラウマをイメージする方が多いようです。

しかし、実際の臨床で扱うのは圧倒的に次の「複雑性のトラウマ」が多く、そのため自身にトラウマがあるとは気づかず、それがトラウマの症状だとも気づかずに来談されることも多いです。

 

複雑性のトラウマ

複雑性のトラウマは、慢性的・継続的に行われたトラウマのこと。

幼児期に受けた育児放棄、虐待(肉体的虐待・精神的虐待、性的虐待)は、たとえ一度きりであってもそれが起こりうる背景が継続的なため、複雑性トラウマになります。また成人後でも継続的なDVなどで複雑性のトラウマを受ける場合もあります。

特に子供の場合は、大人とは違い、直接生死に関わらないことでも心の傷になることがわかっています。

無視や差別などの情緒的愛着の形成不全、過干渉や放任などのコントロールの問題、ショックな出来事が起こった時に適切なケアをされなかったり、学校や地域でのいじめ、差別問題など「辛いことがあっても助けてくれる大人がいない」と子供自身が感じる状態が多ければ多いほど、複雑性のトラウマが形成されます。

 

単回性のトラウマと複雑性のトラウマの違い

単回性のトラウマは「異常な出来事だ」ということを自分でも認識しやすいですが、複雑性のトラウマの場合は異常な状態が日常化しているため、自分がおかしいのかどうか認識しづらいことが特徴です。

 

どんな症状が起きるの?

トラウマ共通の症状

トラウマとその症状の間には「記憶の瞬間凍結現象」の説明が不可欠です。普通、記憶とは頭のなかで「感情」と「出来事」がそれぞれ適切に格納され、時間が経つとそれ自体が「セピア色の思い出」になります。しかし、トラウマとなった出来事は感情と共に瞬間凍結され、頭の中に残り続けます。

このため、いろいろな困った症状が起こります。

1、再体験(フラッシュバック)

ふとしたきっかけでショックな出来事を感情や感覚まで再体験する症状。睡眠中に悪夢で再体験することもある。ただし複雑性トラウマでは鮮明なフラッシュバックは起こらないことも多い。

2、回避・麻痺

ショックな出来事を想起する場所を避けようとしたり、感情を感じるのを止めようとする症状。その結果、お酒に走るなど嗜虐を生むこともある。麻痺が続くと、季節感や幸福感のような鮮やかな感覚が失われたりする。

3、過覚醒

リラックスできない、イライラ、集中困難、焦燥感、眠れないなど。複雑性トラウマの場合は、緊張度が高い、緊張のコントロールができないなどの症状になることも多い。

 

複雑性トラウマの症状

上記の代表的なトラウマ症状3つに加えて、複雑性のトラウマはこのような症状が起きます。

1、感情の調節障害

感情のコントロールが難しくなる。特に怒りについて、調節がしにくくなることが多い。怒りすぎる、もしくは、怒れない。

2、健忘・解離

トラウマの記憶をなくしたり、過去について忘れっぽくなる。自分の人生を生きている感覚が希薄になる。

3、身体化

定期的な頭痛や腹痛など、身体の症状。神経系(自律神経)の乱れ、免疫系・内分泌系の乱れなど。

4、人格の変化

自己認識(自尊心の低下など)、他者認識(警戒・回避など)、関係認識(支配・依存関係など)に困難が生じる。

5、意味体系の喪失

希望の喪失、生きる意味がわからない、それまでの信念の喪失など。

 

トラウマの再上演

症状とは区別して語られますが「再上演」と言って、トラウマを受けた人が過去の出来事と同じようなことを繰り返してしまう、というものもトラウマを持つ人の一つの特徴です。

例えば、虐待された人が、なぜか自分を虐待するような相手に近づいてしまう、または自分が加害者になってしまう。DVの被害者が、次に選んだ相手からも暴力を振るわれるようになる。などが再上演にあたります。

このようなものから、行く先々で同じような対人トラブルが起こる、何度環境を変えてもセクハラ被害を受ける、など「なんで?普通ありえない」というようなことが本当に起こってしまうのがトラウマを持つ人の人生です。

 

どうやって回復するのか?

ここではメアリー・ハーベイ氏のトラウマ回復7段階に則りながら、心理療法FAPの現場では、それをどのように行っていくかを解説したいと思います。

1. 記憶想起の過程の主体者になる

一般的に従来のトラウマ治療では記憶想起をすることがスタートでした。そのため、安全な場所で自分が主体的に記憶想起する体験、というプロセスが不可欠でした。

しかし、FAPでは記憶の想起を求める場面はありません。なぜならトラウマとは、記憶自体がないことも多く、想起しないと症状を治療できないのは困るからです。

従来のトラウマ治療と比べ、記憶想起なしでトラウマを治療することができるのが、心理療法FAPの第一の特徴です。

2.記憶と感情の統合

症状の治療のためには「出来事」と「感情」の適切な処理が不可欠です。従来の治療では、安全な場所で記憶を想起してもらい、記憶にまつわる感情を感じるプロセスですが、どんなトラウマであっても感情を感じることはクライエントに苦痛を強いるものです。

そこで心理療法FAPは、身体レベルの共感を使います。クライアントの未処理の記憶に焦点を当て、カウンセラーがそれを身体を使って感じ、感情を当てはめて記憶の適切な処理をしていく方法を使います。驚くほどクライアントに負担の少ない方法でトラウマが処理できるのです。

3.感情への耐性

それまで圧倒的な質量を持って迫っていた感情が、出来事と共に処理されていくと、回避や麻痺をせずとも、その感情を受け入れることができていきます。

また、それまでは今現在の感情を感じることは、過去の感情まで引き出してしまう危険な行為だったわけですが、クライエントは徐々に本来の自分の感覚を取り戻し「今ここ」の感情とそうではない感情を区別することができるようになっていきます。

4.症状管理

本来の感覚に戻ることで、症状への理解が進んでいきます。このプロセスのために心理療法FAPでは、遺伝子コードでの治療も多用されます。

それまで自分の性格や欠点だと思っていたことが「もしかして、これも症状なの?」と気付けるようになり、症状だと気づかずに、自分を責めたり、振り回されたりすることが減ります。

また、疲れやすさ、対人緊張、体の痛みなど、思いがけないような症状が消失・軽減することにより「あっ、これもトラウマの症状だったんだ」と気付くこともあります。

5.自己尊重とまとまりのある自己感

FAPの治療で、連続性のある自己感覚を妨げていた症状を取り除き「今・ここ」にいられるようになります。罪悪感や恥、自責などの、自己尊重に関わる症状も軽減・消失していき、自分を好きになっていきます。

このプロセスでは、トラウマ治療やカウンセラーとの対話により、自分は悪くなかった、自分は異常な状況を生き抜いてきて偉かったんだ、という認知ができるようになってきます。

6.安全な愛着関係

被害者-加害者の関係に陥ったり、支配者-被支配者の関係に陥ったりなど、対人関係で繰り返しトラウマを再上演していた場合は、その状態が消えていきます。

自分を守ることができるようになり、他人を信用することもできるようになってきますので、自分にとって適切な人と適切な距離で付き合うことができるようになります。

周囲に、安全かつ健全な対人関係を築けるようになるのです。社会的安全を構築してくプロセスですが、FAPではここでも意識的・指示的なアプローチはせず「心に聞く」や「遺伝子コードの治療」による無意識的アプローチを続けていきます。

7.意味づけ

トラウマを受けた自分の人生に、生きる意味を見出すということ。時には「サバイバーミッション(他のトラウマを受けた人の支援に回ること)」に生きる意味を見出したり、それが意味づけの助けになることもありますが、それにとらわれず「私はただここに生きているだけで十分だ」「他の誰とも違う自分の人生を生きているんだ」と思えるようになることが重要です。

クライアントの持つ真のストレングス(強さ・力)が発揮されて、世界に還元されていく最後のプロセスです。人間の持つ尊厳と超越性について扱いますので、最も無意識の力を感じさせられるプロセスです。

 

終わりに

今回は、トラウマ治療の回復プロセスとして多く用いられるメアリー・ハーベイ氏7つのプロセスを引き合いに出しつつ、トラウマの基礎知識を私の経験と照らし合わせながら解説し、FAP治療の特徴と回復プロセスについて、お送りしました。ぜひ参考にしてみてください。

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